おむつの小説

コラボ小説、爽快に生きよう!青空の下で…第3話
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昼間からやりとりをして、具体的に会う方法や日にちを決めた。
おれは少し勇気が出た。
と言うか、すべてをあきさんたちに聞いてもらってすっきりと同時長いトンネルの出口が…光が見つかった気がした。

あ、また濡れてる…
ズボンに手を入れるとオムツが膨れてる。
パソコンに夢中になりすぎたせいかもしれない。
爽になんて言おう…いきなり言葉がでるか自信がない…まして、あきさんのこと知らないのに、会うとか出かけると言ったら怒るかもしれないなぁ。
どんなにあきさんとのやりとりの中のように言葉で自分を鼓舞しても、どうしてもそんなことばかり考えてしまう。

「快〜!ただいま〜」って爽が帰ってきた。
もう、なんでもいい。
まずは何かしてみよう。
爽に近づいて、顔を見る。
「ん?ただいま!快。どうした?おむつ?」と言う爽。
やっぱりおれは恥ずかしくて赤くなってしまう。
オムツという言葉に過敏に反応してしまう。
「快?自分で替える?手伝ってやるからさ!」と言う爽に、首を横に振りながら、真っ赤になりながら、けれど横になる。
だめだよ…やっぱり恥ずかしいし、情けない…
言えないよ…
でもなんかしなきゃ…踏みださなきゃ…
その時あきさんの言葉がよみがえった。
「頑張らなくていい、無理しなくていい。ただ自分の気持ちに素直になって。」
おれは恥ずかしい。
でも、爽の優しさに応えてやりたい。
どっちも本当だから…真っ赤になって、でも爽に身をゆだねようとした。
横になると爽はズボンをずらし、おむつをはずす。
小さなおちんちんと、黄色く染まったディズニー柄のおむつが余計におれの羞恥心を煽る…
「快?最近どうよ?パソコン!楽しいか?何してんだよぉ〜。っておれには言いたくないか〜。」あははと笑いながらオムツを替えてくれる爽。
積極的に会話をしようとしてくれているのが分かる。いつもより替えるのが遅い…
おれはおちんちんをを手で隠し、目には涙がたまっていった。
どうしても、恥ずかしくて、悔しくて…我慢しようとしても、涙が溢れて止まらなかった。「ごめんな!恥ずかしいよな!すぐ終わるから…」と爽が会話をとめオムツを替える手を早めた。

その時…
「爽…」とおれが小さく言った。
聞こえないかもしない声で…でも、確実におれはおれの言葉で、双子の名前を呼んだ。
涙を流しながら、けれど、爽に伝えたい一心で。
その想いが重い重いおれの口を開いてくれ、そこから言葉がこぼれ落ちた。

爽は仰天したのと同時に、驚喜して叫んだ。
「快!快?今喋ったろ!喋ったよな!?俺呼んだだろ?聞こえたぜぇ〜!! 何だよ!何?言ってくれよ!なんでも!」と大喜びで 夢中で問い掛ける爽。
でも、言葉が出ない。
本当に言いたい言葉はここでって時にでなくってまた胸を締め付ける。
しばしの沈黙が流れた。
おれは『ありがとう!』と言いたかった。
けれど、予想以上の爽の反応に怖じけずいてしまう自分がいた。

爽はこの時、久しぶりに聞いたおれの声に夢中だったのだろう。
おれと話がしたい…一言でいいから会話がしたい…という想いが爽を覆っていたんだ。
だから、当たり前と言えば当たり前かもしれないけれど…爽はおむつのことを忘れていた。
そして、折り悪くおれのコントロールの効かない膀胱が解放されてしまった。
シーという音と共にあふれ出るおしっこ…
おれはあまりの恥ずかしさと悲しさで、我慢が出来なかった。
おちんちんを押さえ声をあげて泣き出してしまった。
それでも、おしっこは止まってはくれない。
泣きながらおしっこを止めどなく漏らしている自分の様子。
それはまさに赤ちゃんに近いものに思えた。
そんな自分が悲しくて、悔しくて…

「ごめんごめん!ごめんな快。おれ、すっかり夢中になっちゃって…大丈夫だから。すぐにきれいにするよ。だから泣くなよ、快。泣かないで…」
爽が謝りながらおむつをあててくれた。
優しく丁寧に、それでいて決して兄弟だという立場を崩さずオムツを処理してくれる爽。
その健気なまでの献身におれは、泣きながら、甘えながら、ただこころのなかで「ありがとう」を繰り返していた。
そしておれは、爽にしてやれることを一つ見つけた。

食事を終え部屋二人で部屋に戻った。
爽が「ごめん…快…俺が忘れたから…ほんとにマジでごめん…俺…嬉しくて…だから…その…俺、お前と話したくて…」
爽はそのとき滅多にぶつけない本心をぶつけてきていた。
あとで聞いたら、嫌がられても、キレられても仕方ないと覚悟を決めていたという。
障害を持ってからそれほどおれが殻の中に閉じこもっていたという証だった。
おれはとりあえず反応を返せなかった。
爽はすこししゅんとしていたけど、それをどうにか変えてやれると思っていた。
おれはそっと、それを爽のもとに置いた。
今のおれにできる精一杯。でも必ず一歩になると思うから。

次の日の朝。
爽は訝しんでいた。
朝、起きるとパソコンが…快のパソコンが枕元にあった。
爽はびっくりしたという。
嫌がられることはしたと思うけど、 喜ばれることはしてないつもりだったと。
わけがわからない爽はおれに「これ…お前のパソコンだろ?しっかり持っとけよ!言っておくけど見てないぞ!マジで!」と言ってきた。
おれはただ首を横に振った。
「だから、見てないってば!」と言い募る爽に、おれはやはり横に首を振る。
間を見開き、訴えた。
爽がその瞳をのぞき込んで、遠慮がちに呟く。
「快?もしかして、見ていいのか?俺が見てもいいのか?」うん。見ていいんだよ。
おれは目をおおきく見開いて頷いた。
オムツ交換も目で訴えた。
もう嫌がりも、怒りもしなかった。
そんな自分を変えたい。変えられると思ったからだ。

学校から帰ってきた爽は、おれがおいた机の上のパソコンに気づいた。
おれは素知らぬふりをして、本を読んでいた。
爽は思った。「あの朝の快のキラキラした目。あんな快を久しぶりに見た…本当におれがみてもいいのか…いや、見て欲しいのか?」
爽がおそるおそるパソコンを立ち上げた。

爽の視点がこの時を物語る。

おれはパソコンを立ち上げ見るとそこには快のメールが一部始終残っていた。
快の気持ち… 屈辱…おれへの気持ち…
なんでしゃべらないかが少しわかった気がした…
そして、なによりあきさんという自分物との出会い。
そのあきさんという見知らぬ人物が快を救ってくれたこと。
そして…快が、俺と2人であきさんに会いたいことも…
おれは静かにパソコンを終了した。
幸せな気持ちでいっぱいだった。
これを見せてくれたことが本当に本当に嬉しかった。
「快…」
おれは静かに、快に話しかけた。
快が朝の時のキラキラした目でおれをみてきた。
そうだ。
その顔が見たかった。
「ありがとう。話してくれて。沢山伝わった。おれ、すごく嬉しいよ。快と双子で良かった。兄弟で良かった。」
おれは快にそっと手を差し出した。
一瞬しまったと思った。
おれの出した手は右手だ。
快も右手でないと握手が出来ない。
快の右手は麻痺しているというのに…
けれど、快はゆっくりゆっくり、動かない右手を左手でつかんで、おれの手に右手をつかませてくれた。
そしてにっこりわらって。
「爽。ありが、とう…」と言った。
たった5文字の言葉に那由多の優しさが詰まっている気がして…
おれの目から涙がぽろぽろとこぼれた。

快が事故に遭ってからは、絶対に泣かないと決めたのに…
おれは快の膝に取りすがって、嗚咽をあげて泣いてしまった。
快が…おにいちゃんが、おれの背中を優しくなでてくれた。
「ありがとう。爽。」繰り返し繰り返し言われる度に、涙がその何倍もこぼれては消えた。
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