おむつの小説

コラボ小説、爽快に生きよう!青空の下で…第8話
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タクシーは坂を上り、その中腹にある巨大な校舎群…「札幌市立北諒高校」の寮の前にたどり着いた。
「FM」と書かれた棟の前では、背が高くて、髪の長い、モデル並に美人の女の人が立っていた。
おれたちが怖じ気づいていると、その人がやってきて、しゃがんで目線を合わせると手を差し出しながら言った。
「初めまして。君たちが爽くんに快くんね。フォールの星屑の森にもかき込んでいた栞こと東海林紫織です。よろしく。」
おれたちはおそるおそる手を握り替えした。
紫織さんはそっとその手を握り返すと、笑顔で手を振った。
「あなたが栞さんでしたか!初めまして、フォールこと安達杏葵です。」
「弟の安達璃央です。」
「作詞担当のSay!Yeah!こと縣星影です。」
「ありがとう。あなたたちに会えてとても嬉しいわ。本当にいつか共演させてね。Lotus1.01の皆さん。って、あれ?ボーカリストの女の子はいないのね…会いたかったのに。」
あきさんがしまったと言う顔をした。
けれど星影さんが、「彼女も…蓮も札幌に来てるんですが、用事があって別行動です。もしかしたら、会えると思いますよ。」
そういって、場を取り繕った。

「東海林先輩ただいま〜。」しんじさんが言った。
「ほら、ぱんぱ。もうすぐ大学に入学する彼女のお出迎えだぞ。」じゅんさんがイヒヒとわらって、ぱんぱさんをこづいた。
え!
このめちゃくちゃ綺麗なひとが、ぱんぱさんの彼女なの!
あきさんたちをふくめ、おれたちは一斉にぱんぱさんの方をみた。
「じゅ、じゅ、じゅん!そ、それは、は、は、あ、あの、そ、そ、そ、その…」
いつもにましてどもりながら真っ赤になってあたふたきょどきょどしているぱんぱさんの態度がすべてを肯定していた。
「さ、”ひろくん”。積もる話も、減るお腹もあるわけだから、とっと、食事に行きましょう。みんなついてきて!」
「し、しおりちゃん…」
”ひろくん”に”しおりちゃん”…おれたちはなにか見てはいけない物を見たような気がした。

紫織さんに連れられてやってきた寮は広くて住み心地が良さそうだった。
中は全館暖房で暖かく、あてがわれた部屋はベッドが二つあり机が二つある、ぱんぱさんたちと同じものだと言うことだった。
おれと爽、あきさんとりおさん、せいえいさんは一人で、その部屋に荷物を置いて食堂へ案内された。

春休み中で、寮の食堂にはおれたち以外に誰もいなかった。
「おれたちがいる間は、きちんと寮食がでるんだ。レストラン並とまではいかないけど、うまいよ、きっと。」としんじさんが言った。
「うちらはレストラン並のつもりだからね〜。」
そのしんじさんのセリフが聞こえたのか、厨房のおばさんが笑いながら声をかけてきた。
しんじさんは「いや、べつにそう言う意味じゃ…」なんてあせあせしていた。

みんなの前に配膳され、食事が並ぶと、まずはれんれんさんが手を合わせみんなで「「いただきます。」」を言った。
とりあえず食べよう。まずは、それからだ。ということ。
おれたちは、初めて目にする寮のご飯に舌鼓をうちながら、かき込んでいった。
正直お腹が減っていたのだ。

あらかた食事が終わって、「ごちそうさま」の声が響き始める頃合いを見計らって、じゅんさんが「さて、それじゃあ…」と口を開いた。
「それぞれ、改めて自己紹介をしよう。おれが口火を切ったわけだから、おれからさせてもらおうか。」
そういって、じゅんさんが立った。
「改めて北海道へようこそ。あきくん、りおくん、せいえいくん、そして、爽くんに快くん。おれは、栄口純也。みんなからはじゅんって呼ばれています。じゅんとよんでくれ。この春で、高校三年生になる、17才。野球部で背番号1番のピッチャーをやっています。今年は甲子園を狙ってるんで、もしテレビに出てたら応援よろしく!以上。」
ニマーっと笑ってじゅんさんが席に着いた。
「じゃあ、次はおれかな。」そういって隣のれんれんさんが立つ。
「初めまして。れんれんなんてパンダみたいなあだ名で呼ばれるけど、本名は花井連慈。れんれんでも、れんじでもなんでもいいよ。同じくこの春から三年生になる高校二年生。部活は水泳部と美術部に入ってます。趣味は沢山あるけど、詩を書いたり、美術でも彫塑なんかが好きだなぁ。」
一つに結わえた髪の束を前に垂らして、れんれんさんが言った。
「よかったら詩を見せあいっこしませんか!」せいえいさんが嬉しそうに言った。
「いいねぇ。とはいえ君の詩はサイトで見ているから、ぼくの詩だったらいつでも見せるよ。」と笑うれんれんさんに、「やったぁ!」とせいえいさん。

「ごほん。じゃあ、次はおれね。初めまして、アンド、ようこそ北諒高校へ!しんちゃんこと田島新次です。おれたちは同じ学年だから、やっぱり高校二年生です。オムツにはちょっと詳しいというか煩いというか…まぁ、それはおいおい。吹奏楽部でホルンを吹いています。あ、そういえば、楽器持ってくれば良かったよな。」
そういって、しんじさんはぱんぱさんの方を向いた。
ぱんぱさんが頷くと「そ、そうだね。い、いずれ、ぼ、ぼくらの、が、楽器も、み、みせたいね。でも、い、いまは、と、とりあえず、つ、続きを…」
そういって、紫織さんを促した。
すっと立つとその背の高さと、プロポーションが長い黒髪に一層映える。
「改めて始めまして。栞こと東海林紫織です。ついこの間ここの高校を卒業して、北海道教育大学札幌校に行くことになりました。夢はファゴットのプロ奏者。音楽家ね。ここにいるぱんぱくんにファゴットを教えたのはあたしなのよ。かわいい子には目がないので、あきくんも、爽くんも、快くんも、思いっきりかわいがってあげたいわ。なんちゃって。冗談よ。あたしにはひろくんがいるから。」
そういって、ぱんぱさんの頭をなでると、ぱんぱさんは真っ赤になっていた。
あたふたと立ち上がると赤い顔のまま自己紹介を始めた。
「は、はじめまして。か、快くんに、そ、爽くん。あ、会えて、う、嬉しいよ。ぼ、ぼくは、み、宮澤広助。あ、あの、え、えと、えーと、は、白状、します。し、しおりちゃん、と、つ、付き合って、ます。だ、だから、し、しおりちゃん、か、からは、ひ、ひろくんって、よ、よばれます。で、でも、み、みんなは、ぱ、ぱんぱって、よ、よぶから、そ、そう、よ、よんで、ね。し、しんちゃんと、お、おなじ、すい、吹奏楽部、で、ふぁ、ファゴットを、ふ、吹いて、います。しょ、障害で、お、オムツが、は、外れないです。えーと、い、一応、に、日英の、は、ハーフです。だ、だから、こ、この茶髪は、じ、地毛なんだこ、こんなかんじかな…」
そういって、頭をかいて微笑むとぱんぱさんは座った。
なるほど。ぱんぱさんはハーフだったのか。
白い肌に茶色い髪もこれで納得。
でも、そのわりには背が低いなぁ。

とはいえ、そんなぱんぱさんより一層背の低いあきさんが次に立った。
普通に立つと、机の上に頭が乗るような感じになってしまうので、イスの上に立った。
「えーと、ぼくらは実はみんなと会ったことがあるんですよね。だから、快くんたちとぱんぱさんたちの橋渡し役になれたらいいと思うけど…安達杏葵です。14才の中学2年生。趣味は作曲、小説。ここにいるせいえいやりおと一緒にホームページを経営しています。今回はこうやってぼくたちの世話をしていただいて、ありがとうございます。」
あきさんがイスの上でぺこりと頭を下げた。
「ひろくんの話以上に本物はかわいいなぁ。」
紫織さんが待ったりとした表情で、あきさんをそう評するとあきさんは顔を赤らめて、慌ててイスに座った。
りおさんが立って「いま自己紹介した、安達杏葵の弟の璃央です。りおって呼んで下さい。この間13才になった中学1年生です。特に趣味はないんですけど…一応バスケ部に入ってます…。」
え!とあきさんとせいえいさんが驚いた顔をした。
「りお、バスケ部に入ってたの!?全然知らなかったよ!」
「いや…あの、幽霊部員だったから。うち、父さんが死んでいなくて、お母さんだけなんです。そのお母さんも要職に就いていてよるが遅いから…部活はあんまりできないんです。でも、おれはおにいちゃんがこんなに元気になってくれて、そのきっかけをくれたぱんぱさんたちにお礼が言いたくて…それでここまで来ました。あらためて、ありがとうございます。」
りおくんはばつが悪そうに席に着いた。
「へぇ、りおくんバスケやるんだ。おれも好きだよ。今度会うかおるちゃんも好きなんだ。よかったら、一緒にバスケやろう。」れんれんさんが微笑んで言った。
「ぼ、ぼくも、ぼ、母子家庭、だよ。あれ、そ、そういえば、か、快くんたちも、ふ、父子家庭、じゃなかったっけ?な、なんだか、し、親近感が、わ、湧くなぁ。」とパンパさんが言った。
そういえば、このメンバーの中に片親の家が三家庭もあるなんて珍しいなと思った。
それじゃあ、おれね。と言ってせいえいさんが立った。「ある意味、一番外様なのはおれかもしれないんだけど、初めまして。あきとりおくんの友達であり、大事なバンドメイトでもある縣星影です。せいえいって呼んで下さい。歳は14才。中学二年生。趣味は作詞。おれの詞に息吹を吹き込んでくれたのはあきです。あきはおれに元気をもらったなんて言うけど、元気をもらってるのはおれの方で…今日こうして皆さんと会えて嬉しいです。この旅行の大網を練った計画者としても、これから四日間お世話になります。よろしくおねがいします。」
そういって、大人っぽく頭を下げた。

そしていよいよ、おれたちの番だった。
まずは爽が口火を切って立ち上がった。
「えぇ〜と、はじめまして!曳舟爽です。歳は12才です。俺は快と二人でその名の通り爽快コンビを目指してま〜す!!よろしく!!な、快!あ、それと、蟹とかいくらとか北海道のうまいもの楽しみなんです〜♪こんなおれですけど、どうかよろしくお願いします!」
爽は飽くまで元気だ。
ただ、不安を振り払おうと無理矢理元気に振る舞っているようにも見えた。
爽が、おれを視線で促す。
おれだってまだ不安さ。でもじゅんさんもぱんぱさんもすごくいい人だ。
おれはそれに応えたい。
おれはうなずいて立ち上がり、ゆっくりとしゃべり始めた。
「はじめまして。えぇ〜と、曳船快です。よろしくお願いします。今日はありがとうございました。」
そこで言葉が一瞬詰まってしまった。何か、何か…言わなきゃ…。
「えぇ〜と、えぇ〜と…!俺じゅんさんが好き!大好き!目標です!お、終わり!ごめんなさい…あ!でも、みなさんありがとうございます!」

ちらりとじゅんさんを見ると「いやぁ。照れるなぁ。てか、嬉しいよ。こちらこそよろしく快くん。」そういって、じゅんさんがニマーっと笑った。
ぱんぱさんをふくめ北海道勢のみんなが一斉に「「じゅんだけズルイ!!」」と言った。
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