おむつの小説

コラボ小説、爽快に生きよう!青空の下で…第12話
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「すべからく。北海道の土地はかつてアイヌの人々の物でした。だから、ここ札幌もアイヌの人々が住んでいたよ。札幌は”サッ(sat)”と”ポロ(poro)”と言う単語から出来ていて、それぞれ「乾いた」と「大きい」を意味する。僕や歩歌やかおるちゃんが住んでいる豊平区。そこを流れる豊平川が、冬期には極端に水量が減る乾燥した川だったから、その周辺の地名としてサッポロが使われるようになったらしい。そして、明治に入って、蝦夷地開拓の旗頭の元、アイヌ語で言うところの「シャモ」。和人。つまりぼくらの先祖が移り住んできた。当時のそれは開拓と言うよりも侵略のような一面も持ち合わせていたらしく、各地でアイヌの人々と和人との間に争いが起こった記録もある。先住民族であるアイヌの人々と協調して生きていけたら良かったんだけどね。昔のぼくらの先祖にはその余裕がなかったのだろうか。ともかく、どんどんこの地に住まう和人の数は増え、蝦夷地は北海道となった。そう言う意味では北海道は歴史の浅い土地なんだ。でも、その浅い歴史の中で北海道は北海道なりにいろいろな物を生み出してきた。それが、「Boys be ambicious!」。「少年よ大志を抱け」で有名なクラーク博士が立ち上げた、ここ、北海道大学だ!」
そういって、正門の前で解説してくれたのは、ぱんぱさんやれんれんさんでも、大学生の紫織さんでもなかった。

夏休みの自由研究に北海道の歴史、札幌の歴史を学んだという夜歌くんが、同じ小学生とは思えない語り口で、メガネのブリッジを押さえながらしゃべった。

「あたし札幌の由来なんて知らなかったわ。」
紫織さんがつぶやいた。
「つーか、大学が観光地ってのもすごいよな。」
とじゅんさん。
「面白そ〜!!夜歌くん。早く行きましょ!案内して!Let's go!!」
そういったのは…美咲蓮さんだった。


あの後、あきさんが連絡して、蓮さんに連絡を取ったとき、彼女は相当喜んだそうだ。
あまり歩き回ってもしょうがないので、午前10時にみんなで札幌駅北口のクリスタルピラミッドの前に集まって、そこに蓮さんもやってきた。
おれたちは総勢15名という、相当の大所帯になったわけだ。
その人数が街を歩く姿は、さながらどこかの学校の遠足にも見えたかもしれない。
ただし、一人は茶髪、ひとりは極端に背が小さく、逆に随分背の高い人もいる。
車椅子の女の子がいれば、目の青い少年もいる。
性別も年齢も、みためも十人十色だったけれど、そのなかにひときは天真爛漫で明るい蓮さんがすぐになじめないわけもなかった。

札幌の町並みは、東京の新宿や渋谷、あるいは秋葉原のような、雑然とした感覚と何かが違う。
ビルがあり、それは時に銀行であり、証券会社であり、IT関連の企業であり、病院であり、役所であるのだけれど、その中に混じって、ちらほらと観光名所が存在する。

札幌時計台。
道庁旧本庁舎。
大通公園。
テレビ塔。
すすきの。
狸小路。
サッポロファクトリー。
円山動物園。
藻岩山ロープウェイ。

すこし、郊外に視線を移せば他にもある。
羊ヶ丘展望台。
白い恋人パーク。
モエレ沼公園。
札幌現代美術館。

そのすべてを回ることは出来ないし、季節柄の寒さも考慮して、外での観光は夜歌くんが計画・立案した。
自分で「ぼくはA型だから、完璧主義なんだ。」といって、わざわざ観光のしおりまで作って全員に手渡した。
「きみって、面白い子ね。」
さっそく蓮さんにつっこまれていたけど、だれしも、小学六年生の少に似つかわしくない完璧主義的なその行動に苦笑した。
「夜歌くんってすごいね。おれなんか、パソコンはネットぐらいしかできないからさ。こんなのぜったいつくれないよ。」
おれは感嘆の視線で同い年の少年を見た。
「ってゆーか、社会科見学みたいだ。」
と爽が言った。
それに歩歌くんが乗っかって「そうそう。社会科見学じゃないんだから、兄ちゃんももっと肩の力を抜けばいいのに。おれ、社会の先生と観光してるみたいでウザイ。」と苦言を呈した。
「たしかに…!」と誰ともなく呟いて、「ええ〜。おれ的にはこれぐらいやらないとすっきりしなくて…おれって、ウザイやつなのか〜!!」と夜歌くんが頭を抱え込んだ。
そんな様子がおかしくてみんな笑ってしまった。
「笑ってないでだれかフォローして下さいよぉ。しんじさぁん。」
夜歌くんが泣きそうな声で笑いながら言った。

そんな風にして始まった札幌観光の最初が、まさか大学だとは思わなかったけれど、その中に入ってみて納得した。
なんて広大な敷地。
各種研究棟、抗議棟、博物館、大学付属病院等に加え、牧場・農場まである、その広大な敷地は、端から端まで地下鉄の駅三つ分もの距離がある。
「一つの大学の平地面積としては、日本一だろうな。函館とかにあるキャンパスも加えれば、総合面積でも、日本一かもしれない。」
れんれんさんがそう言った。
「すごいですね。これだけ広いと歩いて移動するのが難しいのは分かるけど、こんな雪道なのに、みんな自転車なんだ。」
あきさんが呆れたように言った。
「慣れだよ、慣れ。コツをつかめば、自転車でも雪道を走れる。」
じゅんさんが自転車のハンドルを握る格好をしながら言った。

それから、クラーク像の前で写真を撮り、博物館を見学した。
「あたし、ここの管弦楽団にトラ(エキストラ)ででたことがあるんだ。農学部の人と友達になったの。」
しおりさんがいって、だから今日は農学部見学させてくれるって、と研究棟の中を見せてもらった。

どれもこれも、新鮮な事ばかりで、大学とはこんなに大きなものなのかと思うと、自分も将来大学に行くのだろうかと思って楽しみになった。
「おれたち、大学まで行けるか分からないけど、いくんなら北大にしよーかなー。」
爽がそういうと、北海道勢が振り返った。
蓮さんも振り返って、爽の前に来るとイシシと笑って「それじゃあ、めちゃくちゃ勉強しなくちゃねー」といって頭をなでた。
東京大学や京都大学と並んで、難関校の一つであるというのは、後で聞いた話。

それから、時計塔、大通公園を回った。
それぞれのばしょで写真をとる。
せいえいさんが行き交う通行人の人を捕まえて、デジカメを渡す。
「君たち、ボーイスカウトかなんか?って、女の子もいるけど…」
なんて訝しがられたけれど「「友達でーす。」」と言うと、たいていの人は快くシャッターを押してくれた。
それでも、15人というさながら小さな修学旅行といったメンツを風景と共にファインダーにうつすのには、誰しも四苦八苦していた。
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