黒猫本舗のブログ

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5人の子供の事を中心に備忘録感覚で書いてます


ある日、三女が帰宅するなり

少し嬉しそうに

「あのね、学校からサーカスのチケットを貰ったんだけど……」

そう私に持ってきた、

その差し出されたプリントには

ポップサーカスなるサーカスのチケットと

地元企業のご厚意で

在校生全員分のチケットをプレゼントする、

そんな旨が記されていたが

如何せん、チケットは1枚。

そしてチケットが指定していた日時には

私はどうしても外せない用事があったのだが

行きたいとハッキリ言わないけど

嬉しそうな三女に

この日は無理!!と行くのは憚られる。

サーカスかぁ……

子供の頃に2回ほど行った記憶があるが

ディズニーのダンボの印象が強すぎて

何か敬遠しちゃってたんだな。

サーカスの雰囲気とかは凄く好きなんだけど

隔離されたお母さん象が格子の隙間から

会いに来たダンボを鼻で………ってあのシーン、

無理、思い出すだけで無理。

でもね、子供の頃の記憶って凄くてさ、

サーカスより個人的に覚えてるのが

40代以上の人なら覚えてるかな、

つくば万博のコスモ星丸。

当時の私はあのキャラが大好きで

CHA-CHA-CHAが流れる会場で

あれのぬいぐるみやらグッズを買って貰って

って思い出したからこないだ

何の気なしに検索したらさ、

つくば万博って1985年なんだよね。

誕生日前としたら2歳だよ、当時の私は。

でもあのキャラへの愛は今も覚えてる。

万博より何よりコスモ星丸。

悲しい事もハッキリ覚えてるもんで

3歳の時に貰った金魚を

学校の池に放す事になって

大泣きしながら父と行った時の道中の景色も

その金魚が金魚の群れに混ざったら

あっという間に見失ってしまった

自分の認識能力の低さに絶望した事も

去年の事みたいな感覚で思い出せる。

普段は思い出さなくても

買ったものの途中まで読んで

忘れて積み上げてた本みたいに

蓄積されてんだよね、この手のは。

そんならさ?

楽しい事を多めに体験させときたいよね、

「あん時のあれは楽しかったなー」

ってのを増やしてあげたい、親だし。


ほいじゃサーカスは良い機会かもしれん、

サーカスに行けなかった思い出なんかより

サーカスに行った思い出の方が

事故でもない限り良いに決まってるわ。

……けど、如何せんチケットは指定席1枚。

B席の指定席チケットとあるが

チケット購入サイトを見ると

映画館なんかとシステムが違うみたいで

並んで指定席が取れる訳でもなさそう。

つーかせっかく見に行くとしたら

三女だけ離れて観る事になるのか?

柱のありそうなこの席はどうなんだ、

そんな事を考えつつ予定も変えられず

三女も特に何も言ってこなかったから

そのチケットは無駄にしてしまった。


そんな中、夕飯時に点けたテレビで

件のポップサーカスのCMが流れた。

2月半ばまでやってるんだよな。

ちゃーんと調整しといたぜ。

三女がそのCMを箸を止めて見ているのを見て

もう限界、はい言っちゃう。

「ねぇ、サーカスみんなで行かない?」

そう提案してみた。

「ほら、三女が貰ってきたけど無駄にしちゃった券あったじゃん。どうせならちょっと良い席取って見に行こうよ」

「コノサーカスイクノ!?イキターイ!!」

ヌーさんは即大賛成。

三女は驚いたような顔をした後に

ニコッと笑っていた。

しかしその年少者2人に反して

「サーカス……良いと思うけど、みんなで行けるかな?値段出てたけどお金も結構掛かるよ?」

「バスで行くの?私達もう大人料金だから往復で交通費だけでも」

うぬぬぬぬぬぬ中学生め、現実的ィ。

その発想は決して嫌いじゃないけど

今回ばかりは蹴散らさせて頂く!!

「子供がそんな心配するんじゃなーーーい!!何の為の日々の質素貧乏なんだ、時に羽目を外す為だろう!?」

「言うほど質素でも貧乏でもないと思うよ」

「いいやド質素でド貧乏だね、とりあえずサーカス絶対行く!!三連休の中日はみんな予定あけといて!!」

この提案に下2人は大喜び、

上の姉2人も初めてのサーカスだし

ママがそこまで言うなら……って

わりと乗り気みたいで

長男はプラズマボールをジッと眺めていた。

……まぁとりあえず全員で行こうぜ。

今はネットでサクッと

チケット予約出来るから楽だわねぇ、

会場でQRコード出せば良いらしいし。

とりあえずレビューを拝見するに

流石、日本三大サーカス。

悪い話は見当たらず

とにかく面白くて大人も楽しめる、

そして「席は正面がおすすめ」とあった。

正面つーと……SS席って奴か。

4人まで入れるロイヤルシートを

2セット買った方がお得なんだろうか

とか色々考えたんだけど

長男の療育手帳割もあるのかぁ……

まぁいいや、わっかんね。

とりあえずSS席7枚。

障害者&付き添い人割引きは

本人半額の付き添い人は500円引き。

じゃSS席入場券付き5枚に

座席指定券2枚買って

当日、長男と保護者の分を窓口精算、これで。

前売りの方がお得なんじゃー!!!!

キェエェッと叫んでポチッと決済完了。

知ってた?

少々お高い物ってね、

叫べば気合いで購入出来るのよ。

「……と言う訳で7人分のチケットを押さえた訳だよ、キューティ」

「えぇ?俺も行くの?サーカスなんて行った事ないのに」

「我が家は私以外みんなそうらしいな、だからこそ行くんだよ」

「俺は俺の分だけ払えばいいよね?」

「まぁそう来ると思ってたよ、それより車出してくれってお願いに来たんだ」

「サーカス行ったことないし知らないんだけど?」

「んじゃ尚更死ぬ前に行けるなら良かったじゃないか」

キューティの悪い癖なんだよな、

興味のない物や知らない物への

警戒心を持つのは悪い事じゃないけど

好奇心がまるでないんだよ、

とにかく否定から入るの。

警戒心も何もさ、機会があれば

知らない事は知っといた方がいいっつーか

何があっても最悪死ぬだけと思うんだけど……

人の奢りなら行くタイプだから

自腹を切るのが嫌なのもあるんだろうな。


日時を伝えて当日になり

「あのさキューティ、後30分くらいで出た方が良いと思うんだけど」

「サーカスって何時から?」

「……何回か伝えたと思うけど13時10分から。長男のチケットの事もあるから30分前には現地にいた方が」

「そっか」

まぁいつもの流れよな。

これで行先くらいは調べるだろ

……と思ったら凄い渋滞。

それもサーカス渋滞。

「あっテント見えたテント!!」

「うわぁー色がシルビアみたい」

シルビアってドラクエ11のあの人ね。

キューティのエリート教育の賜物から

スンナリ出る比喩だな。

「あれ?」

「どうしたキューティ」

「あっちの体育館でやるんじゃないの?」

「体育館……サーカスが?」

「俺、体育館でやるんだと思ってた」

「会場の場所も調べなかったんか」

「うん、分かるかなって思って」

「特設テントって言ったじゃないか……つーかほら、看板出てんじゃん。サーカス会場こちらって」

「あ、ほんとだ」

渋滞を何とか抜け駐車場に車を停め



何か閑散としてるように見えるけど

この数分後、ここは混み混みになる。

チケット完売で満席だったもん。

中で売られているキャラメルポップコーンや

ホットスナックの香りが良い、ホント。

時間が無いから終わってから買ったけど

ホットスナック系も至って普通の値段で

お土産つーかグッズなんかも

地方の縁日より断然安価っつーか

かなり良心的な値段だったので

ウッカリあれこれ買う未来が待っていた。

誰か私を止めて。

2時間後には会場となっていた公園の片隅で

久々のディアボロをする41歳が爆誕。


でも流石っつーかやっぱり古くから現代まで

無くならないエンターテインメントだけあって

外観から内装からBGMまで

ワクワクさせてくれる感じが凄い。

私が購入した席はランダムながらも

SS席の1番後ろ、ロイヤルシートのすぐ前。

「ねぇ猫さん、これ2時間あるんだって」

「案外あっという間かもよ?」

2時間で大人4000円、

そもそもの値段が良心的だよね。

日本三大サーカスで高評価のサーカスなのに。


最初から最後まで、幕間のピエロから何から

もうね、すっごく楽しかったよ。

休憩になってそこで

「もう1時間経ったんだ」

って我に返ったくらい。

手拍子しすぎて掌が腫れたけど

子供達も凄く楽しかったみたいで

何より意外にもキューティも楽しんでた。

「サーカス……いいね、面白い」

「来てよかっただろ」フヒヒ

最後のフィナーレの時だけ

「撮影OK」とのフリップが出たので

みんな一斉に撮影を始めたんだけど

2時間なんて本当にあっという間だったし

何より普段刺激されない部分の脳が

急激に活動し始めたらしくて

暫く、耳の後ろ辺りがギュンギュンしていた。

子供達も私が強制的に買って配った

チュロスを食べながら

「最初のところの演出で鳥肌立った」

「ねー!!始まったー!!って感じだったよね!!」

そんな嬉しそうな顔を見て

あぁ来てよかったなぁとホクホクした。

因みに危ぶまれていたのが

スィッチが入ると短く叫んでしまったり

いきなりぴょんぴょんする長男。

私がそばに居ると収まるんだけど……

サーカスはどうなんだろ。

頼むよ、長男。

いきなり立ったり跳んだりしないでくれよ。

座席に着いてから

そうお願いすると長男は短く頷いた。

最初は音の大きさに苦しんでいた長男も

音楽に合わせて手拍子をして

笑顔で前後に控えめにユラユラ揺れていて

長男も楽しかったみたいで良かった。

身体の揺れが大きくなったら

背中か肩に手を置けば治まるし。

因みに幼少期の私が抵抗があった

動物を使ったショーは殆どなかった。

ミニチュアシュナウザーと思われる

芸達者なワンコが1匹、

幕間のほんの短時間に

ピエロと非常に可愛らしい出演しただけ。

後は人間によるパフォーマンスなんだけど

いや、本当に大人も子供も楽しかったです。

「さてキューティ、まさかこのまま帰るのではなかろうな」

「え?買い物?」

「こんな気分のいい時は外食に決まってるじゃないか!!ねー今日どっか食べに行こう、決を取るからみんな食べたいもの言ってー」

「えっ?ホント?じゃはま寿司」

「えぇーくら寿司」

「ワタシモハマズシ」

………。

これまでそこそこ色んなところに

私は連れてったような気がするんだけど

何で毎度こういう時に

回転寿司しか出て来ないんだね……

まぁ子供が食べたいっつーならそれでいーや。

今の回転寿しって

「お寿司が回ってるレストラン」

みたいな感じだもんね……

7人で行ったらお得感もゼロだ……

因みに回転寿司チェーン店のなかでも

スシローとはま寿司は敬遠してる。

どちらも価格に対して凄く美味しいんだけど

絶え間なくあの呼出音がするので

私がイライラしてしまうからだ。

ゲーセンやパチンコ屋が苦手なのと

同じ理由で苦手。

何故かクラブとライブハウスは平気なのは

「音楽」として私が捉えるかどうか

ってところにあるような気もするが

被災した訳でも逃亡中でもないのに

落ち着かないところで食事とか嫌じゃん。

まぁ回転寿司で落ち着くなって話なんだけど。

そして会計時にはお約束の流れ、

「ねぇ俺、お金ないんだよねー」

「いいです、一切期待してません!!」

「んーじゃ2000円」

「はいどーも!!」

いなくならなかっただけ褒めてやるわ。



外出から帰った我が家は

一気にダウンモードになる。

みんな思い思いの場所でのんびりして

せっかちな順に入浴していく感じ。

私はこの時間がすごく好きだ。


「サーカスがあんなに楽しいとは知らなかったなぁ」

長女もかなり楽しんでくれたみたい。

「まぁ……楽しいも何も初サーカスだしな」

「影響されたと言うか何と言うか、ピエロがとても好きになった」

「そうだぞ赤い風船とは本来無縁なんだぞ」

家に帰ってからそんな話を

私は床にひっくり返りながらした。


「あ、そうだ長女」

「ん?なに?」

「縮毛矯正の薬剤を取り寄せてみたんだけど」

「……やるの?」

「私も頑張るので明日、ご覚悟お願いします」

「……わかった」

「ナプラ~ナプラ~」

「ナプラ?」

「と言う商品名の薬剤を使用します。美容室でも実際に使われているものです」

「そ、そうなんだ」

この縮毛矯正ってのも

昔、懇ろだった美容師が

何か出世してメディアに出てて

「いやぁみんな私と別れてからどんどん出世するんだよなぁ」

なんて思って突発的に閃いたんだよね。

人外のスピードで髪が伸びる上に

人外の毛量の私は

有難いカットモデルだったらしい。

「何かハサミ入れる度に、髪の抵抗を感じる」

「髪が太いからなぁ」

「ムチィッて感触が」

「そんなにか?」

因みにこの髪の太さは子供全員に受け継がれた。

生まれながらに縮毛矯正がかかってる?

って髪質のキューティの遺伝子が強い子は

太毛でもサラッサラのストレートだけど

超絶多毛+後頭部のみ癖のある

私の家系の遺伝子を

モロに継いだ長女に縮毛矯正してやろう。

ドライヤーとストレートアイロンはあるし

美容院で使われてる薬剤だけ取り寄せれば

手間はかかれど1回あたりに換算すると

1000円以下で出来ちまうのよ。

つってもセルフで最後にやったのは

長女達が生まれる前だから

今の私に上手くできるかなー……と思いつつ

いざ翌日やってみたところ

長女本人が感動する仕上がりに。

もーそんなに感謝するなってー。

私が凄いんじゃなくて

薬剤が優秀なだけなんだしな……

まぁ新しい事に触れると

また幾つか新しい事をしたくなるもんで

やらなきゃいけない事だけリストアップして

それだけ自分なりの最短最速でこなしたら

新しい事に飛びついたり

好きな事してたらいいよ、

そうじゃないと新しい事とか

想定外に起きた事に対しても

即座に動けなくなりそうだもん。

新しいワクワクもない上に 

ダラダラ出来ないような環境が続くとさ、

生きているのがどんどん嫌になるじゃん?

出世を蹴って選んだ道なんだもん、

自分の人生の補完も兼ねて

我が子と楽しく過ごさせてくれよ、マジで。


またみんなで行こうよ、サーカス。