d-1 GP FINAL!

【噛むということ(第2回エントリー作品)】


2004-10-14
【噛むということ】
「噛む」
・・・しゃべっていて、言葉がちゃんと言えなかったときにこう表現するようになったのはいつからだろう?
私も27年の人生の中で、いろいろ噛んできた。
しかし、中でも私の中で一番印象に残っている「噛み」はつい数年前のことだ。

以前別のところでも書いたのだが、新入社員だったときのことだ。
自衛消防隊というのをやったことがある。
地域のいろんな事業所が参加し、屋内消火栓や消火器をいかに迅速に正しく行えるか、を競う大会に参加したのだ。
私は同期3人と屋内消火栓の部に参加した。
大会に向け週に2〜3回、店を抜け出して近所の広い駐車場で消防士の指導の元、練習を積んだ。

そんなある日、その地区の消防署長が練習を視察に来るという。
とは言っても今までやってきたことを確実にやればいい。
何も問題ないはずだ。
しかし、ある消防士の一言が流れを変えた。

「TEKKENさんね、いつも点呼のときに『イーチ(1)!』って言うでしょ?あそこね、『イチー!』って言ったほうが締まるんじゃないかな?」

・・・いざ署長の前で披露しようという直前にこう言ってきたのだ。
しかし、難しいことではない。
ただ言い方を変えるだけである。
お安い御用・・・そのときはそう思った。

いざ披露。
「番号!」という指揮者の号令。
ここで一番員である私が番号を言うわけだが、ついいつものクセで「イーチ!」と言おうとしている自分に気付く。
いかん!「イチー!」と言わなければ!
でも、もう体は「イーチ!」と言う気満々!!
しかし頭では「イチー!」と言えと体にストップをかける!
その結果、私の口から発せられた言葉はこうだ。

「イティー!」

・・・噛んだのだ、「1」を。
数字を学ぶ上で、真っ先に学ぶ「1」。
数を数えるたびに声に出してきた「1」。
今までの人生で、一万回くらいは声に出してきたであろう、「1」。
それを噛んだのだ。
「イチ」という、文字数にしてわずか二文字を・・・。

ウケた。
一瞬の静寂の後、その場にいた人々は大笑いだ。
もちろん、署長も。

しかし勘違いしてはいけない。
私が「笑わせた」のではない。
私は「笑われた」のだ。

「噛んで客に笑われる」・・・
私は芸人にはなれない。


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