実家から千葉へ帰ってきた。 夕べはうちの両親と兄夫婦で食事をしたのだが、その席でまたうちの親父は息子の期待にこたえてくれた。 うちの親父はもう年金生活なのだが、それだけではやっていけないので牛乳配達をしている。 その仕事のやり方についての話になり、ビールで顔を真っ赤にした親父はこんなことを言った。 「いやな!今のやり方がな!俺にとって一番ベターなんだよ!」 「一番」といいながら「better」だ。 「best」じゃない、「better」なのだ。 もしかしたら「限りなくbestに近いbetterであって、bestはきっと他にあるに違いない」という、親父なりの深意があっての発言かとも思ったが、その赤ら顔を見て「それはないな」と確信した。 それからこんなことも。 団欒の時間を楽しみ、「そろそろ出ようか」ということになったのだが、兄が追加注文した茶碗蒸しがまだまったく手付かずの状態で兄の前に置かれていた。 それに気付いた兄嫁が「それ食べちゃえば?」と兄に促したのだが、兄は「もういいや」と箸をつけずに伝票を手にした。 ここで母が「いいよ!払うよ!」と伝票を渡すよう兄の方に手を伸ばしたのだが、兄は譲らない。 一応私も隣で手を兄へ差し出してみたが(まあ正直払う気はまったくなかったのだが)、やはり兄は譲らない。 すると今度は赤ら顔の父が手を差出し、「いい!俺に渡せ!」と言い出した。 普段は支払いのことは母にまかせきりの父がこんなことを言い出すのは珍しく、なんとなく「じゃあここは親父に…」という場の雰囲気になった。 そして兄がいざ父の方へ伝票を差し出そうとすると、父は続けてこう言った。 「違うよ!俺が食うから、それ!」 父の狙いは箸をつけられずに残っていた茶碗蒸しであった。 結局支払いは兄夫婦がしてくれて、赤ら顔の父は茶碗蒸しをかきこんで咳き込んでいたのだった。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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