刻の詩集

僕と月

冬の部活が終わる頃は 外が月の雫に浸かっていた

その景色に何故か無意味にワクワクしていた僕は 今日一日の疲労感を引きずりながら校舎を後にする

ぼんやり照らされた緩い坂道を 少し大きめの制服姿で まるで月に導かれているかのようにバス停まで歩く

誰も居ないバス停に月と二人きり 車の流れを見送りながら 好きな音楽を聴きながら 子供の顔でバスを待つ

最後まで会話は無いけれど バスに乗る瞬間

『明日も頑張れよ』

と背中を押された気がした

僕はバスに揺られながら

『……お互いに…な』

と頬杖をつきながら窓ガラス越しに月に返した


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